洛中桜巡り

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ぼくらはずっと見ていたよ。
六角堂の御幸桜が、この春のために、一年間せっせと幹の中で準備していたのを。

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それは、千本釈迦堂のおかめ桜とて、同じ。
桜の木の全体が、一時も休むことなく続けた、花を咲かせる活動の全て。
それらが、花の色となって現れていた。

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桜で糸を染めると、「匂うように美しい桜色に染まった」
染色家の志村ふくみさんは、著書にそう書いている。
草木染めの桜色は、花びらから煮出しているのかと思っていたが、実際は違うらしい。
桜色ではない木の皮や枝で染めている。
それも、花咲く直前の樹皮や枝でないと、艶のある桜色が出ないそうだ。

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西陣にある本隆寺さんの静かな境内でも、桜が枝の先々まで、花を咲かせていた。

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上品蓮台寺の紅枝垂れ桜は、正にこれから艶のある桜色の枝を空に向かって広げようとしていた。

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桜の名所、平野神社にも出かけた。
数年前に山口の両親を京都に招待し、ここ平野さんで花見をしたことがある。

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その時は北野天満宮の南側からぐるっと回って、平野さんの境内に入った。
今回は京都の友人に、平野さんから北野さんの北門に抜ける近道を教えてもらった。
あの時、この道を知っていれば、両親をあんなに歩かせることはなかったのに・・・。

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夕陽が平野神社の桜苑を染める。
地面から天に向かって伸びた幹の中から、命の精髄を全て注ぎ込んで生まれた花の色。
この桜色の光景を父と見ることは、もう叶わない。
今春、父は病に苦しんだ後、西の方へ逝ってしまった。

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もし、一人で平野さんの「寝覚桜」を眺めていたら、泣き出してしまったかも知れない。
一緒にいてくれた友達に感謝したい。
願わくば、仏の国での父の寝覚めが、素晴らしいものでありますように。

(撮影4月3日)
by kirafune | 2010-04-24 23:40 | 京都 | Trackback(1) | Comments(18)
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Tracked from walk with my.. at 2012-04-19 19:13
タイトル : さくらKyoto/2012:本隆寺(i)
洛中の北のあたり、すなわち今出川通りと北大路通りの間には、いわゆる観光ルートにはのっていないような中小の寺院が本当に沢山ありますね。 _ Photoクリックで拡大 _そんななかの一つで、ブログ仲間の京都通Tさんに教えていただいた総本山:本隆寺におじゃましました。 ここは私も前日までまったく耳にしたことすらなかったお寺さん。 子供連れの地元の人が自転車を押しながら通り過ぎる、そんなゆったりとした場所でした。 だいたい拝観受付は見当たらないし、賽銭箱さえどこにあるかよ...... more
Commented by 都人 at 2010-04-25 00:50 x
桜三昧の京の旅になりましたね
桜は、儚いから、ちょっと、切なくなりますね~
人を楽しい気持ちにさせてくれたり、考えさせてくれたり・・・
寒い冬をじっと耐えたからこそ、より美しい花を咲かせてくれる桜に心から感謝です。そして、儚く散っても、やがて葉桜となって生命の息吹を、生きる力を教えてくれますよね~
きっと、お父様も、素敵な桜を楽しまれていると思います。
Commented by うえっち at 2010-04-25 02:08 x
どの桜も満開ですね。
桜は一瞬に咲いて散ってしまうため、美しい反面儚さも感じさせますよね。
でも一緒に見た桜でお父様のことを思い出すことによって、きっとお父様も同じ気持ちで見ていると思いますよ。
Commented by shino at 2010-04-25 08:41 x
花の佇まいに、春の訪れと共に、別れの季節も同時に巡っているのだという思いをあらたにしました。
私も、父が急逝した年の一緒に見た桜は、忘れることが出来ません。

ご両親と素敵な時間を過ごされたのですね。
大切な思い出の内に、お父様を偲ばれるひとときが、一番のご供養になるのだと思います。

ご両親をお招きしてのお花見、よいことをなさいましたね!

どの花もそれぞれ美しい・・・
六角堂の羅漢さんがそれを物語ってくれていますね。
桜は、人生の節目節目を振り返らせてくれる花だと思います♪
Commented by kirafune at 2010-04-25 19:56
♪都人さん

桜三昧の京の旅、楽しかったです^^
あちこち出かけて桜を見ても、不思議と花疲れはなかったですね~。
どれひとつ、同じ桜がないせいでしょうか?
筋肉痛にはなりましたが(笑)
この春は父もどこかできっと、眩い光の中で花見をしていたと思います。


Commented by kirafune at 2010-04-25 19:58
♪うえっちさん

そうですね。
同じ気持ちで桜を眺める。
思えば、素敵なことですね♪
命が有限だからこそ・・・。
Commented by kirafune at 2010-04-25 20:03
♪shinoちゃん

六角堂の羅漢さんたち、味のあるお顔で、癒されました。
親孝行をしておかないと、後で後悔するかもしれない。
できるうちに何でもしておきたいと思います。
春は出会いと別れの季節。
しみじみ実感する、古都の春でした。
Commented by chisa_pie at 2010-04-25 23:46 x
桜は何度見ても飽きないから不思議です。咲き始めに心がときめき、満開の桜に圧倒されて、散り際の潔さに感動し、散った花びらさえ愛おしくなり、まだどこかに咲いていないかしらと欲が出て。今年はkirafunesさんのお陰で、長く桜を楽しませていただきましたが、kirafuneさんのご両親との思い出とお父様とのお別れの記憶が沢山詰まった桜だったのですね。私も今年は母と近所の桜を、2度一緒に見る事が出来ました。親孝行出来るうちにしておきたいですね。来年も又同じような春を迎えられたらいいなと思っています。
Commented by ぽん at 2010-04-26 18:32 x
桜の世界って不思議な位、亡き人の思い出をよみがえらせてくれるものです。
もうわからなくなっていたベッドの上の父に、引き伸ばした桜の写真を見せたら、うなづいてくれた事を思い出します。

又、見ごたえのある写真をたくさん見せていただけるようになって本当に嬉しいです。
Commented by えみりん at 2010-04-26 20:09 x
こんばんは。
桜って長い年月を生きてきて、毎年きれいな花を咲かせてくれる。
花が終わると人は見向きもしなくなる。
ちょっと寂しいけど、記憶にはちゃんと残っている。
kirahuneさんにとって、悲しい出来事があったのですね。
この桜を見るたびに、楽しかった想い出を思い出して下さいね。
お父様もきっとどこかで見守ってくれているでしょう。
すてきな、さくらでした。
Commented by miyabiko at 2010-04-27 01:33 x
この日はあちこちでいろんな桜を見たのですね。
どれもこれも見事な桜ばかりで、どの写真も見惚れるばかり、存分にお花見させていただきました。
この日の最後はご両親との思い出の場所でしたか。
思い出の桜を見て亡きお父様の事を思うkirafuneさんの心中を思うとなんだかもらい泣きしそうになりました。
でも、もしかして、お父様の魂はkirafuneさんと一緒にお花見を楽しんでいたかもしれませんね。
Commented by kirafune at 2010-04-27 23:18
♪chisa_pie さん

chisa_pie さんのお母さまはお幸せですね。
私もできるうちに、chisa_pie さんのように、親孝行したいです。
来月、母の日ですね。
今年は向田邦子さんの行きつけだった表参道のお店に母が行きたいと言うので、一緒に行こうかと思っています。
Commented by kirafune at 2010-04-27 23:20
♪ぽんさん

桜とお父様との思い出、大切な宝物ですね。
私の拙いブログを見てくださって、本当にありがとうございます。
嬉しいです^^
Commented by kirafune at 2010-04-27 23:23
♪えみりんさん

ほんと、葉桜になった桜にだれも見向きもしませんね。
現金なものです。
でも、そんなこと気にも留めず、桜はまた見事な花を来年も咲かせてくれます。
仏の世界でも咲いているのでしょうか?
そうだといいなと思います。
Commented by kirafune at 2010-04-27 23:28
♪miyabikoさん

今年の春もまた京都で桜三昧でした。
随分歩きました。
そうですね、父もきっと同じ桜を眺めていたと思います。
でも、「もう二度と・・・」と思うと、やっぱりさびしいものですね。
Commented by ログの大好きな徳さん at 2010-05-10 15:47 x
六角堂の御幸桜の下の羅漢さんをみていると 亡くなったお父様の
顔が浮かんできたのかなぁ。。。 桜を見上げる横顔を想い出され
たようですね。
Commented by kirafune at 2010-05-11 06:51
♪徳さん

風にたなびく御幸桜、美しかったです。
桜も羅漢さんも、人の顔を思い出させてくれますね。
Commented at 2012-04-19 20:54
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kirafune at 2012-04-21 00:49
♪鍵コメさん

それはショックでしたね。
高校時代の友は一生の友です。
義父も、鍵コメさんのお友達も
天国できっと満開の桜を見ていると思います。
安らかな気持ちで。
そうあってほしいですね。
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