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雲母(KIRA)の舟に乗って

東京と京都の街角でキラッと光る揺らぎの瞬間を拾った写真&エッセイのブログです♪


by 雲母舟

「隣花苑」の蓮華飯

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「秋になったら、蓮の実ご飯がおいしいですよ。またいらしてください」
女将さんの言葉が忘れられず、とうとう来てしまった。




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横浜の繁華街を抜け、バスに乗ること20分。

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国の名勝三渓園のお隣に懐石料理の頂けるお店がある。
その名も「隣花苑」 (りんかえん)。

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本牧の住宅街を入って行くと、突如緑の庭の奥に、600年前の田舎家が現れる。
足利時代の重厚な建物には、囲炉裏がよく似合った。

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黒光りした廊下をいくつも曲がり、奥の部屋に通される。
頼んでおいたのは、昼のみの「三渓麺」コース(3500円)。
梅酒で友の誕生日を祝った。
先付はきのことトウモロコシの和え物。

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前菜が年代物の器に盛られてきた。

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枝豆豆腐の食感が新しい。
お盆は奈良の東大寺が火事になった時に出た木材で作られていた。

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十五夜に因んだ椀物は、秋刀魚のつみれ汁だった。
漆塗りのお椀の中で月が輝いていた。

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こちらが名物の三渓麺。
中華風の味付けで、汁気のない麺だった。
温かい冷やし中華といったところだろうか。
女将の曾祖父で、三渓園の創設者・原三渓さんが考えだした料理だった。

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三渓園には広大な蓮池がある。
秋になるとこちらの蓮の実を使って、手間暇かけた蓮華飯が出来上がる。
冒頭のお茶漬け風の食べ物がそれだ。
生糸貿易で財を成した三溪翁だが、晩年は最愛の息子を亡くすという不幸があった。
蓮華飯は息子の友人・和辻哲郎と谷川徹三を蓮の花の咲く頃、園に招いた時に
三渓翁が供した浄土飯だった。

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デザートは巨峰のゼリー、兎の形をした京都の和三盆落雁が出てきた。
お抹茶のお椀は、紅葉に彩られていた。

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食後は、主庭の見える明るい部屋に移動する。
こちらの間は徳川時代、母屋に増築された建物だった。

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玄米茶を頂きながら、秋の庭を眺めた。

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のんびりできたし、そろそろお暇しましょうか。
母屋の壁に上方舞の名人・武原はんの書「舞」がかかっていた。

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「動く錦絵」と謳われた武原はんの気品溢れる舞姿が見えたのだろうか?
囲炉裏端のにゃんこが空をじいっと眺めていた。

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600年前の空間から一気に外に出ると

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秋の爽やかな青空が広がっていた。

(撮影9月25日)

隣花苑
神奈川県横浜市中区本牧三之谷52−1
電話:045-621-0318
営業:12:00~20:00
休み:水曜日、夏季、年末年始
交通:桜木町駅より市バス20分 「三渓園前」下車徒歩7分
Commented by arak_okano at 2010-10-02 08:00
アラックです。
良いですね、バグース!
神奈川に住んでいながら一回もこの景色を
見に行ったことがありません。
背景のボカシ方が何とも言えません。
Commented by しなこじ at 2010-10-02 09:53
築600年の田舎屋の佇まい、年代物の器、そして由緒のあるお盆にお料理、どれも素晴らしいですね。
そして冒頭の蓮華飯に三渓麺、エキゾチックといいましょうか、いただいてみたいです。
「舞」の書に武原はんの美しい舞姿が浮かびました。
三溪園のお隣にこんな素敵なところがあったのですね、、、
Commented by kirafune at 2010-10-02 11:50
♪アラックさん

神奈川なら、お近くでいいですね。
三渓園に毎月通っているというカメラマンと
お話しましたが、人の少ない冬が
一番いいらしいですよ。
Commented by kirafune at 2010-10-02 11:56
♪しなこじさん

こちらのお店はお料理もさることながら
建物と雰囲気に趣きがあっていいですよ。
しなこじさんもきっと気に入られると思います^^
蓮華飯は蓮の実がとれる9月のみとのことですが、
三渓麺は、いつでもいただけます。
三渓園とセットで行かれることを
おすすめしますよ。
Commented by shino at 2010-10-02 18:22
お写真を見せていただきながら、楽しかった一日を思い出しています。
素晴らしい空間に、ご一緒させていただきありがとうございました♪

それゆえ、特に今回の記事のアプローチと展開に、いまさらながら舌を巻いています。
蓮のお写真を挿入されているところや、記事に猫の置物を巧みに利用されているところなど感心しました(^^)

早速、私のお気に入りに加えさせていただきますね。



Commented by ジバゴ at 2010-10-02 21:51
はじめまして。
来年以降に食べに行こうかなと考えておるのですが
蓮華飯は「三渓麺」コースに含まれていますでしょうか。
Commented by merry at 2010-10-02 22:53
三渓園に600年の母屋だけでも魅力的なのに
美味しそうな懐石料理も付いたら最高ですね!!
東大寺が火事になったときに出た木材のお盆、っていうのにも興味をそそられます。
Commented by ZISS at 2010-10-02 23:09
こんばんは。

うっ、いかん、小腹が・・・(笑)
蓮の実は利尿作用があって、老化防止にいいのだそうです。
薬膳料理などでも使われていますね。

えー、私事ですが、この度ブログを卒業することにしました。
ちょっと仕事上のことで大変な時期を迎えているものですから・・・
ええ、写真はやめませんが、別の形で時々は発表するかも。

いろいろとお世話になりましてありがとうございました。
Commented by chisa_pie at 2010-10-03 09:51
三渓園は随分前にいったきりで、最近行こう行こうと思いながら果たせずにいます。
「隣花苑」前にもきっとあったのでしょうね、
気がつきませんでした。
建物も器もお料理も素晴らしいです。
お盆も見てみたいですね。
横浜はいつ行っても楽しいところですね。
素敵なお店のご紹介有難うございます。
Commented by kirafune at 2010-10-03 16:19
♪shino ちゃん

その節はご一緒できて、とても楽しかったです。
蓮の実ご飯は初めていただきましたが、
シンプルで心に残るお料理でしたね。
贅沢を極めた三渓さんが辿り着いた先は
こういう素朴なものだったのかと、思い至りました。
お気に入りに入れていただき、嬉しいです。
またよろしくお願いします^^
Commented by kirafune at 2010-10-03 16:21
♪ジバゴさん

はじめまして!
コメント&ご訪問、ありがとうございました。
蓮華飯は「三渓麺」コースに含まれておりませんが
プラス500円でいただけます。
蓮の実は灰汁も強く、取り出すのに
ものすごく手間暇がかかるということでした。
500円でいただけるなんて、恩の字でした。
来年、楽しみですね。
Commented by kirafune at 2010-10-03 16:25
♪ merryさん


こちらはお料理の盛られている器も
素晴らしかったです。
かなりの年代物が使われているということでした。
蓮の実ご飯についていた香の物は、
バリ島の蓮の葉型の小皿でした。
東大寺の木材のお盆も素敵でした。
Commented by kirafune at 2010-10-03 16:29
♪ZISSさん

こんにちは!
突然のブログ卒業、残念ですが、写真は続けられるとのこと。
何か発表や個展のときはお知らせください。
いつも素晴らしいお写真で、勉強させていただいておりました。
こちらこそ、お世話になり、本当にありがとうございました。
どうぞ、お元気で。
お仕事、がんばってくださいね。
また!
Commented by kirafune at 2010-10-03 16:33
♪chisa_pie さん

期せずして、chisa_pie さんと同じ時期に
横浜探訪していました。
見どころの多い街ですね、横浜って。
三渓園の京都や鎌倉から移築した建物群も素晴らしいですが、
お隣の隣花苑の田舎家も、室町時代のもので立派でした。
機会がありましたら、是非!
Commented by 都人 at 2010-10-04 00:10
素朴であること
人は、成功すると初心を忘れてしまいがち・・・・
ここには、心の安らぎがあると感じます。
おもてなしの心を大切にされている女将に感謝したい
素敵なお店を紹介して頂いたkirafuneさんにも♪
Commented by kirafune at 2010-10-04 06:43
♪都人さん

最後はこういう素朴なところに
かえってゆくのでしょうね。
おもてなしの心は大切にしたいものです。
女将さんを見習って。
Commented by miyabiko at 2010-10-05 20:04
600年前の建物が今でも使われているというところにびっくりしました。
無駄のない洗練されたお料理の数々に心惹かれました。
器も素敵ですね。
特に東大寺の材木で作ったお盆は気に入りました。
欲しい!!
こちらの臼杵石仏の近くで蓮料理が食べられるそうなのですが、まだ行ったことがありません。行ってみないと話になりませんね^^;
Commented by kirafune at 2010-10-06 06:41
♪miyabiko さん

室町時代に建てられたものと聞き
びっくりです。
私も東大寺のお盆、欲しい!!と
思いました。
臼杵石仏の蓮料理って、どんなものなんでしょう?
ぜひ今度リポートしてくださいね。
by kirafune | 2010-10-01 23:57 | グルメ | Trackback | Comments(18)