カエルの雨乞い 〜新宿〜

バケツリレーしたくなる程、各地で火事が多発していた。

東京も冬の間、ほとんどお湿りがなかった。

新宿にでかけると、街のたばこ屋さんの前に、

「禁煙」の立て札。

その頭上には消火栓もあった。

それなのに、ああ、無情。

この世には、神の愛も涙もないのだろうか。

どうして天は復興しかけていた大地震の被災地に追い打ちをかけるように、

山火事という新たな災難をもたらすのか？

せめて水をたっぷり含んだ巨大な風船を大船渡市の上空から投げて、

山の延焼を食い止めてほしかった。

国民の誰もが雨蛙と一緒になって雨乞いの歌を輪唱していた。

そして遂にやっと、長く続いた延焼が食い止められた。

それでも、カエルの歌はいつまでも、哀し気に聴こえ続けていた。

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